園城寺(三井寺)
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第860話
園城寺(おんじょうじ)は、滋賀県大津市園城寺町にあり、なお一般には三井寺(みいでら)として知られています。境内にある観音堂は西国三十三所観音霊場の第14番札所です。近江八景の一つである「三井の晩鐘」でも知られています。平安時代などの日本古典文学で、何も注釈を付けず「寺」と書かれていれば、この園城寺を指すとされているほど有名な寺です。
開基(創立者)は大友与多王とされていますが、日本書紀などの正史には記載がなく、公式な皇族としての記録は残されていません。第761話:天武天皇は台与(2):大友皇子と東漢氏では、「大海人(天武天皇)は、壬申の乱に勝利して天皇に即位したとされています。対立したのは、大友皇子で、その大友皇子を養育したのが、大友村主です。ウツシコオ(内色許男命)でしょう。」と書いています。大友村主は一説では仁徳天皇の時代に阿智使主とともに日本に渡来した帝利(みかどり)を祖としています。近江朝廷における大友皇子(弘文天皇)の主たる支持勢力を成したと推察されています。応神天皇20年9月条に「倭漢直(やまとのあやのあたひ)の祖である阿智使主と、帝利ら一行が朝廷に仕えた」と記載があります。第689話:阿智氏・阿直岐は、では、阿智氏は台与、ウツシコオ(内色許男命)一族のこととしてます。これらのことから、大友与多王も帝利(みかどり)もウツシコオでしょう。~第761話:天武天皇は台与(2):大友皇子と東漢氏を参照のこと。
園城寺(三井寺)の境内にある三尾神社(みおじんじゃ)は、その昔、長等山の山頂に腰に赤・白・黒の三つの帯を巻いた伊弉諾尊*が降臨すると、里人によって長等山の鎮守神として祀られたといいます。*伊弉諾尊(イザナギ)はウツシコオで、伊邪那美命(イザナミ)は台与です。~詳細は後述予定
この地で三尾神社が伊弉諾尊=ウツシコオを祀っていたため、園城寺が建てられたのだと思います。三尾明神は貞観元年(859年)卯の年に園城寺初代長吏に就任した円珍*によって、本神である赤尾神が現れた現・園城寺の境内の西方・琴尾谷(琴緒谷)に園城寺の鎮守として祀ることとし、社殿が建立されました。この円珍は、第776話:邪馬台国の水軍(3):因支氏と讃留霊王で登場しています。円珍は、讃岐国那珂郡*(香川県善通寺市)に生まれました。俗名は和気広雄。母方の姓は佐伯氏で、円珍の母は弘法大師空海の妹(もしくは姪)にあたります。なお弘法大師の祖先はウツシコオ(内色許男命)=スサノオ(津田の王)です。~第318話:空海のルーツは内色許男命!
*那賀郡は、因支氏(いみきうじ)の拠点地で第768話:長髄彦と粉河寺~那賀郡で書いたように、長髄彦の名前の由来となった地名です。
その後、園城寺の境内が整備されると北院の鎮守は新羅社(現・新羅善神堂)、南院の鎮守は三尾社となりました。
新羅明神(しんらみょうじん)は、園城寺(三井寺)の守護神で、円珍(智証大師)が唐から帰国するに際して搭乗船の船首に出現し、自らを新羅国明神と称していたことによります。元来中国の山東省に祀ってあった神、あるいは朝鮮半島からの渡来神とも言われていますが、秦氏*が祭祀したともされています。第845話:hidemaru3375.com/post/新羅は白髭-猿田彦 *秦氏と台与は一心同体です。~第459話:hidemaru3375.com/post/台与と秦氏
<まとめ>
・園城寺の開基(創立者)は大友与多王とされますが、大友与多王はウツシコオです。
・園城寺(三井寺)の境内にある三尾神社(みおじんじゃ)で祀られている伊弉諾尊はウツシコオです。
・新羅明神は猿田彦=ウツシコオで、秦氏との関係があると思われます。
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<蛇足の追記>
園城寺(三井寺)多くの伝説が残っています。
弁慶の引き釣り鐘は、この寺の最初の梵鐘で、奈良時代の作とされています。 むかし、承平年間(十世紀前半)に田原藤太秀郷が三上山のムカデ退治のお礼に 琵琶湖の龍神より頂いた鐘を三井寺に寄進したと伝えられています。
その後、山門との争いで弁慶が奪って比叡山へ引き摺り上げて撞いてみると ”イノー・イノー”(関西弁で帰りたい)と響いたので、 弁慶は「そんなに三井寺に帰りたいのか!」と怒って鐘を谷底へ投げ捨ててしまったといいます。 鐘にはその時のものと思われる傷痕や破目などが残っています。
園城寺(三井寺)には、弁慶の汁鍋という大鍋も置かれています。このブログでは、弁解に関する伝説は、第846話:hidemaru3375.com/post/弁慶-大物(だいもつ)・書写山で書いたようにウツシコオをモデルにして創作されたと考えられます。
藤原秀郷(俵藤太)は、室町時代に「俵藤太絵巻」で、近江三上山を八巻きした大百足退治の伝説で有名です。八巻というのは、上方落語では七巻半とされています。つまり八巻き(鉢巻)より、少し短いという意味です。
これまでに書いた 西国三十三所の寺院の記事
(1)青岸渡寺 →第543話:熊野の神々は、、、
(2)金剛宝寺(紀三井寺)→第590話:彦狭知(ヒコサチ)の物語2
(3)粉河寺 →第768話:長髄彦と粉河寺~那賀郡
(4)施福寺→第850話:hidemaru3375.com/post/槇尾山-施福寺
(7)岡寺(龍蓋寺)→ 第795話:岡寺と台与(豊)
(8)長谷寺 → 第666話:元伊勢(13)~長谷寺・與喜天満宮
(9)興福寺 南円堂 → 第793話:空海(6):虚空菩薩 (10)三室戸寺 →第723話:三室戸寺~宇治(莵道)(11)醍醐寺 上醍醐准胝堂 →第855話:醍醐寺と白髪の老人(12)正法寺→岩間寺と狗奴国:塔の峰
(13)石山寺 →第857話:石山寺:石(岩)と金
(14)園城寺(三井寺 観音堂):今回 (15)今熊野観音寺 (16)清水寺 (17)六波羅蜜寺
(20)善峯寺 →第859話:善峯寺と鷲尾寺
(21)穴太寺→第824話:穴太寺と穴太衆=土蜘蛛
(22)総持寺 → 第823話:総持寺幻想~大阪府茨木市
(23)勝尾寺 (24)中山寺 →第706話:中山寺・清荒神・売布神社~宝塚市(25)
(播州)清水寺 (26)一乗寺 (27)圓教寺 →第843話:弁慶 大物(だいもつ)・書写山
(28)成相寺 (29)松尾寺 (30)宝厳寺→第705話:竹生島神社・宝厳寺 ~琵琶湖
(31)長命寺→ 第709話:hidemaru3375.com/post/長命寺:武内宿祢と聖徳太子 (32)観音正寺
(33)華厳寺→第725話:谷汲山(たにぐみさん):大口大領
番外 元慶寺(山科)→第720話:毘沙門堂~京都市山科
これまでの記事はこちらです。
※このブログは、御牧国(ミマキ国)が邪馬台国であるという前提の上で書いています。
・ミマキ国は、守口、寝屋川、茨木、吹田、高槻、枚方、交野です。
※このブログでは、魏志倭人伝:古事記・日本書紀の登場人物は三人だけとしています。
~古事記、日本書紀の作者(編纂者ではない)たちも魏志倭人伝しか資料がなかったのです。
記紀の登場人物をスサノオ(津田の王)=ウツシコオ(内色許男命)=難升米、卑弥呼=天照大神、台与(豊)に当てはめる作業をしているのです。
※台与とウツシコオのコンビとは、以下です。前者が台与です。
神武天皇と八咫烏、フツヌシとタケミカズチ、神功皇后 武内宿祢、応神天皇と武内宿祢、
アメノウズメと猿田彦、ニギハヤヒ(饒速日)とナガスネヒコ(長髄彦)
聖徳太子と蘇我馬子・秦河勝、五十猛(イタケル)とスサノオ(素戔嗚)
※台与(豊)は魏志倭人伝に書かれいる13歳で邪馬台国の大王(天皇)に即位した人物のことです。
※ウツシコオは魏志倭人伝に書かれている難升米のことです。
・今までのところ矛盾なくここまて書き続けています。矛盾している箇所があれば、その矛盾点をヒントとして次の記事としています。
<目次>




https://katsuo-ji-temple.or.jp/history/detail/history03.php
<これまでウツシコオ(内色許男命)=スサノオ(津田の王)であることが判明した人物>
第374話:牛鹿臣はウツシコオ! 第371話:彦狭島命~吉備児島
第372話:建日方別:彦狭嶋命 第369話:神武西征~健磐龍命
第365話:君が代(2):君はウツシコオ 第363話:彦はすべて、ウツシコオ
第324話:武内宿禰はウツシコオ!! 第325話:天之日矛はウツシコオ
第326話:大日彦(オホヒヒ彦)~守口 第327話:于道朱君の衝撃~新羅
第328話:沙至比跪(サチヒコ) 第329話:アメノヒボコはウツシコオ
第330話:投馬国とウツシコオ~丹波(但馬) 第331話:朱智神社~迦邇米雷王
第333話: 牛頭天王(スサノオ)はアメノヒボコ?
第380話:猿田彦は異国人 第401話:犬養氏:スサノオは天手力男神=野見宿禰
第335話: 天道根命は道祖神=ウツシコオ 第334話: 大彦は、五十猛!
第336話:大屋彦~根の国は和歌山 第337話:阿多賀田須命~宗像氏
第338話:月読命(ツクヨミ) 第349話:天児屋命はウツシコオ!!
第357話:武甕槌神(タケミカヅチ)考 第317話:ひょっとこ:火男~天之御影命
第318話:空海のルーツは内色許男命! 第319話:和知津美命はワタツミ!!
第320話:欠史八代はヤマト=三島 第230話:三嶋溝抗命たち(複数)
第231話:神八井耳命は三毛入野 第232話:内色許男命は武埴安彦命!
第274話:八咫烏もウツシコオ 第275話:事代主もウツシコオ?
第279話:開化天皇 第280話:建角身命もウツシコオ
第263話:中臣氏~中臣烏賊津 第256話:ウガヤフキアエズのミコト
第244話:大津神社と建南方富命 第245話:豊御気主命は三毛入野!
第246話:高御産巣日神(高木神) 第247話:今迦毛大御神と天若日子
第249話:物言えぬ皇子~阿遅須枳高日子 第251話:猿田彦は塩土老翁神
第252話:迦毛大御神は崇神天皇! 第253話:キサガイヒメはウツシコオの母!
第354話:伊勢津彦はタケミナカタ =ウツシコオ 第254話:興玉命も内色許男命
第361話:宇都志国玉神と宇都志日金拆命 第394話:天御鳥命(武夷鳥命)は火の鳥
第395話:天日鷲命は、、、 第397話:獲加多支鹵大王(ワカタケル) =雄略天皇
◎hidemaru3375.com/post/ヒコユキからウツシコオへの過程