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善峯寺と鷲尾寺

  • tootake
  • 6 日前
  • 読了時間: 8分

更新日:1 日前

第859話


善峯寺(よしみねでら)は、京都市西京区にあります。西国三十三所第20番札所。桜や紅葉の名所になっていて、境内各所から京都市街や比叡山を一望できます。


寺に伝わる善峯寺縁起絵巻によれば、長元2年(1029年)に浄土教の祖:源信の弟子にあたる源算が47歳で当山に入り、小堂を建てて自作の千手観音像を本尊として祀ったのが創建とされています。


秘仏本尊は、平安時代後期から鎌倉時代初期の作とされる。寺伝では後朱雀天皇の命により洛東の鷲尾寺から移したものです。この尊の御衣木(みそぎ。尊像を作るのに用いる木材)は、下鴨神社の槻の霊木で作られたと伝えられています。


伝説では、「下賀茂神社地田の田主が苗を植えると、苗が一夜にして槻(けやき)の木へと変わりました。後に槻の木は朽ち折れて倒れますが、その木から千手観音の真言が聞こえるので皆不思議に思い、誰も斧を入れませんでした。歳月が流れて、寛弘年間(1004~1012)に行円上人が霊夢を受けて、賀茂神社の神主を詣って夢の内容を話されたところ、神主は槻の木を斬って行円上人に与えました。この材をもって西国19番行願寺(革堂)にご自作の千手観音を奉安されます。この霊木の余材を仁弘法師が得て、千手観音をお刻みになり洛東の鷲尾寺に奉安されました。そして後朱雀天皇は、「後世の利益のために鷲尾寺の千手観音像を源算開基の良峯にお移ししなさい」と夢の中でお告げを受けられます。後朱雀天皇は勅使を鷲尾寺に遣わして夢の内容を伝えたところ、仁弘法師の弟子である章円上人と大衆は深く感心されて、「良峯に移し奉るべき」と勅答されました。こうして長久3年(1042)3月18日勅宣があり、鷲尾寺の千手観音は当山に遷座されました。」とあります。


今回、問題にしたいのは、洛東の鷲尾寺です。善峯寺の縁起や歴史書に「洛東鷲尾寺」の存在が記されていますが、これはあくまで伝承上の寺院であり、現在の地理的・考古学的には実在を確認できる遺構はありません。「洛東鷲尾寺の仁弘法師作の千手観音像」と明記されており、信仰上の由来地として扱われています。


  • 「洛東鷲尾寺」は京都市東山区の東山山中にあったとされますが、具体的な遺構や位置は不明。

    「鷲尾山」という地名が東山に存在するため、そこにあった寺院と推定する説もあります。

  • 考古学的遺構は未確認:

    • 現在の京都市内に「鷲尾寺」と名乗る寺院は存在せず、廃絶した寺院として文献にのみ登場します。

    • 歴史学・宗教史の分野では「伝承上の寺院」として扱われ、善峯寺の信仰形成における象徴的な由来地とされています。

「洛東鷲尾寺」は、善峯寺のご本尊の由来地として文献に登場する重要な寺院ですが、実在したかどうかは史料上の記録に基づく伝承であり、現在の地理的・考古学的には確認されていません。それでも、善峯寺の信仰体系においては欠かせない霊地として位置づけられています。私は洛東の鷲尾寺は、実際は存在しない捏造された寺だと思っています。


実は、鷲尾寺(興法寺)は、大阪府東大阪市にあります。

鷲尾寺(興法寺)は、役行者*が開基し、弘法大師空海が諸堂を整備したと伝説される寺院です。伝説では、千手寺を開いて神並村(こうなみむら)にあった役行者は、生駒山の東に吉祥を表す雲がたなびくのを見て、氷室滝という滝に近づいてみると、そこに氷室権現という神があらわれて、「大聖歓喜天」いわゆる「聖天」像を授けられたといいます。平安初期は、弘法大師空海がこの地に参籠のおり、九頭龍権現*が出現して、役行者が授けられた聖天像を授けます。そこで弘法大師は、この地に諸堂を建立し、鎮護国家の道場としたと伝えられています。*役行者はウツシコオ(内色許男命)スサノオ(津田の王です。~第475話:役の行者(役 小角)と韓国広足 九頭龍権現は台与です。


今回のポイントは、善峯寺と下鴨神社鷲尾寺の関連です。

・下賀茂神社の祭神は、賀茂建角身命(かもたけつぬみのみこと)つまり、八咫烏は=ウツシコオです。

・鷲尾寺の「鷲」は、天日鷲神(あめのひわしのかみ)の「鷲」でしょう。天日鷲神(あめのひわしのかみ)は、日本書紀や古語拾遺に登場しています。阿波国を開拓し、穀麻を植えて紡績の業を創始した阿波(あわ)の忌部氏(いんべし)の祖神です。第395話:天日鷲命は、、、では、天日鷲命はウツシコオとしました。

洛東の鷲尾寺を捏造したのは、なぜそんなことをしたかというと、ウツシコオと台与との関連を知られたくなかったからでしょう。ウツシコオ(内色許男命)スサノオ(津田の王が日本国(大和朝廷)を作り、13少女(台与)が日本の初代の大王(天皇)であったことを隠したかったからです。~第712話:hidemaru3375.com/post/大化の改新は嘘だった!:蘇我入鹿は台与

・東大阪市にある鷲尾寺(興法寺)は、長髄彦を祀る石切神社のすぐそばにあります。

・善峯寺の境内各所から京都市街や比叡山を一望できます。前回では、岩間寺と狗奴国:塔の峰では、岩間寺は、卑弥呼の女王国と、ウツシコオ(内色許男命)スサノオ(津田の王(狗奴国の狗古智卑狗)との戦いの際に使われた狗奴国の「監視塔」ではないでしょうか。と書きました。善峯寺も京都盆地全体を見渡せます。絶好の「監視塔」です。


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<蛇足の追記>

鷲尾寺(興法寺)が本尊としているのは、元正天皇の代、行基菩薩が勅をうけて造立したという伝承される千手観音です。境内の左には護摩堂があり、本尊は烏枢沙摩(うすさま)明王で、左右に不動明王と役行者を奉祀しています。烏枢沙摩明王は、不浄を消し去る明王とされ、寺院ではしばしばトイレに祀られる明王です。興法寺の烏枢沙摩明王は、他の寺院ではあまり拝することの出来ない、大変大きな姿をしています。


これまでに書いた 西国三十三所の寺院の記事

(1)青岸渡寺 →第543話:熊野の神々は、、、 

(2)金剛宝寺(紀三井寺)→第590話:彦狭知(ヒコサチ)の物語2 

(3)粉河寺 →第768話:長髄彦と粉河寺~那賀郡

(4)施福寺→第850話:hidemaru3375.com/post/槇尾山-施福寺 

(5)葛井寺→ 第794話:葛井寺と王辰爾 (6)南法華寺(壺阪寺) → 第796話:壺阪寺と台与

(7)岡寺(龍蓋寺)→ 第795話:岡寺と台与(豊) 

(8)長谷寺 → 第666話:元伊勢(13)~長谷寺・與喜天満宮 

(9)興福寺 南円堂 → 第793話:空海(6):虚空菩薩 (10)三室戸寺 →第723話:三室戸寺~宇治(莵道)(11)醍醐寺 上醍醐准胝堂 →第855話:醍醐寺と白髪の老人(12)正法寺→岩間寺と狗奴国:塔の峰

(13)石山寺 →第857話:石山寺:石(岩)と金

(14)園城寺(三井寺 観音堂) (15)今熊野観音寺 (16)清水寺 (17)六波羅蜜寺

(18)六角堂→第519話:六角堂と平安京(頂法寺) (19)革堂(行願寺)→第856話:行願寺と狩人

 (20)善峯寺 :今回(21)穴太寺→第824話:穴太寺と穴太衆=土蜘蛛 

(22)総持寺 →  第823話:総持寺幻想~大阪府茨木市

(23)勝尾寺 (24)中山寺 →第706話:中山寺・清荒神・売布神社~宝塚市(25)

(播州)清水寺 (26)一乗寺 (27)圓教寺 →第843話:弁慶 大物(だいもつ)・書写山

(28)成相寺 (29)松尾寺 (30)宝厳寺→第705話:竹生島神社・宝厳寺 ~琵琶湖 

(31)長命寺→ 第709話:hidemaru3375.com/post/長命寺:武内宿祢と聖徳太子 (32)観音正寺

(33)華厳寺→第725話:谷汲山(たにぐみさん):大口大領

 番外 元慶寺(山科)→第720話:毘沙門堂~京都市山科


       これまでの記事はこちらです。


※このブログは、御牧国(ミマキ国)が邪馬台国であるという前提の上で書いています。

・ミマキ国は、守口、寝屋川、茨木、吹田、高槻、枚方、交野です。

※このブログでは、魏志倭人伝:古事記・日本書紀の登場人物は三人だけとしています。

 ~古事記、日本書紀の作者(編纂者ではない)たちも魏志倭人伝しか資料がなかったのです。

記紀の登場人物をスサノオ(津田の王ウツシコオ(内色許男命)=難升米、卑弥呼=天照大神、台与(豊)に当てはめる作業をしているのです。

※台与とウツシコオのコンビとは、以下です。前者が台与です。

神武天皇と八咫烏、フツヌシとタケミカズチ、神功皇后 武内宿祢、応神天皇と武内宿祢、

アメノウズメと猿田彦、ニギハヤヒ(饒速日)とナガスネヒコ(長髄彦)

聖徳太子と蘇我馬子・秦河勝、五十猛(イタケル)とスサノオ(素戔嗚)

※台与(豊)は魏志倭人伝に書かれいる13歳で邪馬台国の大王(天皇)に即位した人物のことです。

※ウツシコオは魏志倭人伝に書かれている難升米のことです。

・今までのところ矛盾なくここまて書き続けています。矛盾している箇所があれば、その矛盾点をヒントとして次の記事としています。 


<目次>





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3件のコメント

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tootake
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tootake
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tootake
6日前
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<これまでウツシコオ(内色許男命)スサノオ(津田の王であることが判明した人物>


第374話:牛鹿臣はウツシコオ!   第371話:彦狭島命~吉備児島

第372話:建日方別:彦狭嶋命  第369話:神武西征~健磐龍命

第365話:君が代(2):君はウツシコオ   第363話:彦はすべて、ウツシコオ

第324話:武内宿禰はウツシコオ!!  第325話:天之日矛はウツシコオ

第326話:大日彦(オホヒヒ彦)~守口  第327話:于道朱君の衝撃~新羅

第328話:沙至比跪(サチヒコ)  第329話:アメノヒボコはウツシコオ

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