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行願寺と狩人

  • tootake
  • 17 時間前
  • 読了時間: 7分

更新日:9 時間前

第856話 #狩猟者改心伝説#行願寺#革堂


革堂 行願寺は、京都市中京区寺町通竹屋町にあります。西国三十三所第19番です。

百錬抄、日本紀略等によれば、寛弘元年(1004年)に行円が一条小川の一条北辺堂の跡地に一条北辺堂を復興し、新たに行願寺と名付けたものです。一条北辺堂については、日本紀略:永祚元年(989年)に「一条北辺堂舎倒壊」とあり、当寺の創建以前から存在したようです。


行願寺創建については次のような話が伝わっています。

「行円は仏門に入る前は狩猟を業としていたが、ある時、山で身ごもった雌鹿を射たところ、その亡くなった雌鹿の腹から子鹿の誕生するのを見て、殺生の非を悟って仏門に入った」というものです。行円はその雌鹿のを常に身につけていたことから、皮聖、皮聖人などと呼ばれ、それによって当寺の名も堂と呼ばれるようになったとされています。


これに似た話はとしては、第473話:英彦山と台与でも書きました。

豊後国日田郡の藤原恒雄は、よく猟をしており、獣を追って山に入ったとき、岩窟に座している善正に出会います。藤原恒雄は猟を続けますが、善正の姿を見ているうちに信心の気持ちが起こったのか、善正の窟のそばに小屋を作って住むようになります。ある日、藤原恒雄は猟に出て一匹の白シカを見つけ弓で射ました。シカは倒れましたが、三羽の鷹が飛来し、一羽が嘴で矢を引き抜き、一羽が羽で傷口の血をぬぐい、一羽がヒノキの葉を水にひたしてシカにふくませました。すると、シカは蘇生したのです。藤原恒雄は神の仕業と悟り、弓矢を捨て、家財をなげうって祠を建て、善正が抱いて来た異国の仏様を安置して祀り、自らは善正の弟子となります。これが日本における僧のはじめであるというものです。


そして、他にも「狩猟者が改心して仏門に入る」あるいは「殺生から慈悲へ転換する」ような創建伝説を持つ寺院がいくつか存在します。

特に有名なのが「法道仙人」にまつわる伝承です。法道仙人(ほうどうせんにん)は、近畿地方を中心に多くの寺院の開基とされる伝説的な人物です。彼の創建伝説の中には、狩猟者が仏法に目覚めて寺を建立するというモチーフが繰り返し登場します。

伽耶院(兵庫県三木市):大化元年(645年)創建。法道仙人が毘沙門天を本尊として開いたとされます。伝説では、山中で狩猟をしていた人物が法道仙人に出会い、仏法の教えに感銘を受けて改心し、寺院建立に協力したと語られています。

摩耶山天上寺(神戸市)も法道仙人が開基とされ、山岳修行と狩猟の世界から仏教への転向が語られます。


狩猟者改心のモチーフの文化的意義は、殺生から慈悲への転換は、仏教の教義において、殺生は戒律に反する行為で、狩猟者が改心することで、仏教的価値観への転向が強調されます。とされていますが、第557話:御頭祭:鹿と神社では、古代は多くの神社で諏訪大社と同様に殺したばかりの鹿、猪、魚、雉、兎を供える儀式が行われており、このことは、

縄文人の行っていた狩猟を再現することで、縄文時代と惜別したのでしょう。と書きました。台与とウツシコオは稲作を日本全土に広めていったことはこのブログで何度も書いてきました。~第503話:日高見国~私見  


大げさに言えば、狩猟者改心のモチーフは縄文時代から弥生時代への移り変わりをしめすものではないのでしょうか。


第803話:卑弥呼と銅鐸(3):邪馬台国と鹿では、次のような記事も書いています。


播磨国風土記:讃容郡(兵庫県佐用町周辺)の地名由来譚に登場する伝承では、

  • 玉津日女命(たまつひめのみこと)*という神が、国占めの競争の中で生きた鹿を捕らえ、その腹を割いて血を取り出す。

  • その鹿の血に籾種(稲の種)を浸して田に播くと、一夜にして苗が生えた。

  • それを収穫して植え広げたことで、大神が「五月夜(さよ)に殖ゑつるかも」と言い、神は他所へ去った。

  • このことから地名「讃容(さよ)」が生まれ、神は「賛用都日賣命(さよつひめのみこと)」と呼ばれるようになった。

  • 地名「讃容(さよ)」は、神の行為と季節(五月夜)に由来し、神名もその行為に基づいて変化する。

    第796話:壺阪寺と台与では、壺阪寺には、もうひとつの壺坂霊験記として、親孝行の姫が大蛇とともに昇天する「さよ姫伝説」も伝承されています。賛用都日賣命(さよつひめ)は、松浦佐用姫(まつらさよひめ)=台与と思われます。

・佐用姫の佐用とは、第535話:佐比の岡~兵庫県太子町で書いたように太子町佐用岡(さよおか)のことではないでしょうか。この地は聖徳太子=台与とゆかりの深いところです。


第796話:壺阪寺と台与では松浦長者が登場しています。松浦長者は、ウツシコオ(内色許男命)スサノオ(津田の王で、松浦佐用姫は台与です。

さよ姫(佐用姫、小夜姫)の伝説が各地で見られます。台与は日本各地を回ったことは、このブログで書いてきました。

この伝説は、第854話:長者伝説と台与(邪馬台国)で書いたように、日本各地にある長者伝説とも結びついています。


狩猟者改心のモチーフと長者伝説と絡めて西国三十三番札所を考えると立体的に邪馬台国が見えてきます。


これまでに書いた 西国三十三所の記事

(1)青岸渡寺 →第543話:熊野の神々は、、、 

(2)金剛宝寺(紀三井寺)→第590話:彦狭知(ヒコサチ)の物語2

(3)粉河寺 →第768話:長髄彦と粉河寺~那賀郡

(4)施福寺→第850話:hidemaru3375.com/post/槇尾山-施福寺

(5)葛井寺→ 第794話:葛井寺と王辰爾

(6)南法華寺(壺阪寺) → 第796話:壺阪寺と台与

(7)岡寺(龍蓋寺)→ 第795話:岡寺と台与(豊)

(8)長谷寺 → 第666話:元伊勢(13)~長谷寺・與喜天満宮

(9)興福寺 南円堂 → 第793話:空海(6):虚空菩薩 (10)三室戸寺 →第723話:三室戸寺~宇治(莵道)(11)醍醐寺 上醍醐准胝堂 →第855話:醍醐寺と白髪の老人(12)正法寺 (13)石山寺

(14)園城寺(三井寺 観音堂) (15)今熊野観音寺 (16)清水寺 (17)六波羅蜜寺

(18)六角堂→第519話:六角堂と平安京(頂法寺) (19)革堂(行願寺):今回

(20)善峯寺 (21)穴太寺→第824話:穴太寺と穴太衆=土蜘蛛

(22)総持寺 →  第823話:総持寺幻想~大阪府茨木市

(23)勝尾寺 (24)中山寺 →第706話:中山寺・清荒神・売布神社~宝塚市(25)

(播州)清水寺 (26)一乗寺 (27)圓教寺 →第843話:弁慶 大物(だいもつ)・書写山

(28)成相寺 (29)松尾寺

(30)宝厳寺→第705話:竹生島神社・宝厳寺 ~琵琶湖

(31)長命寺→ 第709話:hidemaru3375.com/post/長命寺:武内宿祢と聖徳太子 (32)観音正寺

(33)華厳寺→第725話:谷汲山(たにぐみさん):大口大領

 番外 元慶寺(山科)→第720話:毘沙門堂~京都市山科


これまでの記事はこちらです。


※このブログは、御牧国(ミマキ国)が邪馬台国であるという前提の上で書いています。

・ミマキ国は、守口、寝屋川、茨木、吹田、高槻、枚方、交野です。

※このブログでは、魏志倭人伝:古事記・日本書紀の登場人物は三人だけとしています。

 ~古事記、日本書紀の作者(編纂者ではない)たちも魏志倭人伝しか資料がなかったのです。

記紀の登場人物をスサノオ(津田の王ウツシコオ(内色許男命)=難升米、卑弥呼=天照大神、台与(豊)に当てはめる作業をしているのです。

※台与とウツシコオのコンビとは、以下です。前者が台与です。

神武天皇と八咫烏、フツヌシとタケミカズチ、神功皇后 武内宿祢、応神天皇と武内宿祢、

アメノウズメと猿田彦、ニギハヤヒ(饒速日)とナガスネヒコ(長髄彦)

聖徳太子と蘇我馬子・秦河勝、五十猛(イタケル)とスサノオ(素戔嗚)

※台与(豊)は魏志倭人伝に書かれいる13歳で邪馬台国の大王(天皇)に即位した人物のことです。

※ウツシコオは魏志倭人伝に書かれている難升米のことです。

・今までのところ矛盾なくここまて書き続けています。矛盾している箇所があれば、その矛盾点をヒントとして次の記事としています。 


<目次>




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3件のコメント

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tootake
17時間前
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tootake
17時間前
5つ星のうち5と評価されています。

<これまでウツシコオ(内色許男命)スサノオ(津田の王であることが判明した人物>


第374話:牛鹿臣はウツシコオ!   第371話:彦狭島命~吉備児島

第372話:建日方別:彦狭嶋命  第369話:神武西征~健磐龍命

第365話:君が代(2):君はウツシコオ   第363話:彦はすべて、ウツシコオ

第324話:武内宿禰はウツシコオ!!  第325話:天之日矛はウツシコオ

第326話:大日彦(オホヒヒ彦)~守口  第327話:于道朱君の衝撃~新羅

第328話:沙至比跪(サチヒコ)  第329話:アメノヒボコはウツシコオ

第330話:投馬国とウツシコオ~丹波(但馬)  第331話:朱智神社~迦邇米雷王

第333話: 牛頭天王(スサノオ)はアメノヒボコ?

第380話:猿田彦は異国人     第401話:犬養氏:スサノオは天手力男神=野見宿禰

第335話: 天道根命は道祖神=ウツシコオ 第334話: 大彦は、五十猛! 

第336話:大屋彦~根の国は和歌山  第337話:阿多賀田須命~宗像氏

第338話:月読命(ツクヨミ)      第349話:天児屋命はウツシコオ!!

第357話:武甕槌神(タケミカヅチ)考    第317話:ひょっとこ:火男~天之御影命

第318話:空海のルーツは内色許男命!   第319話:和知津美命はワタツミ!!

第320話:欠史八代はヤマト=三島    第230話:三嶋溝抗命たち(複数)

第231話:神八井耳命は三毛入野    第232話:内色許男命は武埴安彦命!

第274話:八咫烏もウツシコオ   第275話:事代主もウツシコオ?

第279話:開化天皇          第280話:建角身命もウツシコオ

第263話:中臣氏~中臣烏賊津      第256話:ウガヤフキアエズのミコト

第244話:大津神社と建南方富命  第245話:豊御気主命は三毛入野!

第246話:高御産巣日神(高木神)  第247話:今迦毛大御神と天若日子

第249話:物言えぬ皇子~阿遅須枳高日子  第251話:猿田彦は塩土老翁神

第252話:迦毛大御神は崇神天皇!  第253話:キサガイヒメはウツシコオの母!

第354話:伊勢津彦はタケミナカタ =ウツシコオ 第254話:興玉命も内色許男命

第361話:宇都志国玉神と宇都志日金拆命  第394話:天御鳥命(武夷鳥命)は火の鳥

第395話:天日鷲命は、、、  第397話:獲加多支鹵大王(ワカタケル) =雄略天皇


hidemaru3375.com/post/ヒコユキからウツシコオへの過程

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