top of page

空海(6):虚空菩薩

  • tootake
  • 15 時間前
  • 読了時間: 6分

第793話 #南円堂 #葛井寺 #法輪寺


今年になって二回目の西国三十三番巡りを始めました。6月には南円堂に行きました。

南円堂は「西国三十三所」の第九番札所として人々の参拝が多い御堂です。興福寺の境内にあります。この堂は弘仁4年(813)に藤原冬嗣が父の内麻呂追善のために建立しました。基壇築造の際には地神を鎮めるために、和同開珎や隆平永宝を撒きながら築き上げたことが発掘調査で明らかにされています。また鎮壇には弘法大師空海が大きく関わったことが伝えられています。当時の興福寺は藤原氏の氏寺でしたが、藤原氏の中でも摂関家となる北家の力が強くなり、北家の内麻呂・冬嗣親子ゆかりの南円堂は興福寺の中でも特殊な位置を占めました。本尊である不空羂索観音菩薩(ふくうけんさくかんのんぼさつ)が身にまとう鹿皮(ろくひ)は、神に仕える鹿への信仰、つまり氏神である春日社との関係により、藤原氏の強い信仰を集めました。


飛鳥時代すでに、斑鳩の法興寺(飛鳥寺、後に元興寺)には虚空蔵菩薩があって、7世紀には大和の地に居住する渡来人たち(秦氏・東漢氏ら)、とくに製銅・製鉄・鍛冶・冶金あるいは養蚕・織物・漆製造・漆工芸を職能とする技術者の間で虚空蔵信仰があったことが知られています。

 

虚空蔵菩薩は、実は養蚕の神です。蚕の糞を蚕糞(こくそ)といい、虚空蔵と語呂合わせができることと、蚕は幼虫→繭→蛾と死と再生(擬死再生)を三度くりかえすので(不老不死の)常世虫といい、それが常世の神(蚕神:かいこがみ)として信仰されたことから、養蚕や絹織物に励む秦氏の民にとって、蚕(常世虫)と常世の神(蚕神)と虚空蔵菩薩は一体となったのです。


空海が室戸岬の洞窟、御厨人窟に籠もって虚空蔵菩薩求聞持法を修したという伝説はよく知られています。


また九州での秦氏の拠点地である宇佐地方で最初に建てられた仏教寺院を虚空蔵寺といいました。7世紀末、白鳳時代に辛嶋氏と宇佐氏によって創建され、壮大な法隆寺式伽藍を誇ったといいます。宇佐八幡宮の神宮寺である弥勒寺はこの虚空蔵寺を改名したものです。


第467話:虚空蔵菩薩は台与!!で書いたように虚空菩薩は台与(豊)としています。

また私が台与とする饒速日(ニギハヤヒ)は、天磐船に乗り込み、物部八十の大船団を率いて高天原を出航し、豊前国の宇佐から瀬戸内海を渡り、天磐船が鳥見の里を見渡す哮ヶ峯(たけるがみね=交野山)に着くと、饒速日尊は辺りを見渡し「虚空(そら)にみつ日本(やまと)国)」と賛じたといいます。これが日本の国号の始まりといわれています。


京都嵯峨(嵐山)に行基*が建立した葛井寺(ふじいでら)に、貞観16年(874)、虚空蔵菩薩を祀って寺を再興し、寺名を法輪寺に改めたのは讃岐国香川郡の秦氏を出自とする道昌です。道昌は空海の同郷の弟子で、法輪寺のある一帯は、ほど近い太秦を本拠地とする秦氏の勢力圏でした。道昌は、秦氏が5世紀後半に桂川に築造した葛野大堰の後を受けて承和年間に大堰川の堤防を改修し、承和3年(836)には太秦広隆寺の別当となっている。爾来、法輪寺は漆寺といわれるようになり、漆工職の信仰を集めることになりました。


この京都嵐山の法輪寺では、13歳になった少年少女が虚空蔵菩薩に智恵を授かりに行く「十三詣り」という行事が行われています。13歳とは邪馬台国の大王(天皇)となった台与が即位した年齢です。


========================================

<蛇足の追記>

以呂波字類抄という古文献の「本朝事始」の項に、倭武皇子(やまとたけるのみこ)が宇陀の阿貴山で漆の木をみつけ、漆を管理する官吏を置いたという記述があり、また倭武皇子が宇陀の山にきて木の枝を折ったところ手が黒く染まり、その木の汁を家来たちに集めさせ持参の品に塗ったところ美しく黒光りした。そこで漆の木が自生している宇陀郡曽爾郷(今の宇陀市曽爾村)に「漆部造(ぬりべのみやつこ)」を置いたという。これが日本最初の漆塗の伝えです。倭武皇子(ヤマトタケル)台与です。~第439話:ヤマトタケルは台与



*行基~このブログは、邪馬台国が大阪府枚方市であることを証明するために書き続けています。卑弥呼の後を継いで、邪馬台国の大王(おおきみ)となった台与の後をたどっているうちに行基に出会いました。行基は、なぜかこのブログに予期せず登場します。行基の初出は、第625話:大阪と邪馬台国:美木多(堺市南区)で、この回では、「行基が掘削指導した貯水池としては、昆陽池(昆陽池公園内、兵庫県伊丹市)、久米田池(大阪府岸和田市) などがあり、また狭山池(大阪狭山市) 日本最古のダム式貯水池(溜池)を改修しています。行基も渡来人=秦氏だからこそ台与と同じような知識と技術を持っていたのでしょう。」と書いています。台与と行基の背後にはいつも渡来系の技術者集団がありました。空海もこの行基を範をとっていたようです。~第790話:空海(3):大輪田泊(土木工事)


<空海シリーズ>

第792話:空海(5):天才

第789話:空海(2):阿刀氏

第788話:空海と秦氏


このブログを書いているうちに、台与の足跡をたどっているうちに、西国三十三番と重なる場所が増えてきました。

第一番  青岸渡寺→第543話:熊野の神々は、、、    

第二番  金剛宝寺(紀三井寺)

 →名草(和歌山市)第590話:彦狭知(ヒコサチ)の物語2~珍彦(ウズヒコ)

第八番  長谷寺→第666話:元伊勢(13)~長谷寺・與喜天満宮

第十番 三室戸寺→三室戸寺~宇治(莵道)

第十八番 六角堂(頂法寺)→第519話:六角堂と平安京

第二十四番 中山寺→第706話:中山寺・清荒神・売布神社~宝塚市

第三十番   宝厳寺(竹生島)→第705話:竹生島神社・宝厳寺 ~琵琶湖

番外 元慶寺(山科)→第720話:毘沙門堂~京都市山科


これまでの記事はこちらです。


※このブログは、御牧国(ミマキ国)が邪馬台国であるという前提の上で書いています。

・ミマキ国は、守口、寝屋川、茨木、吹田、高槻、枚方、交野です。

※このブログでは、魏志倭人伝:古事記・日本書紀の登場人物は三人だけとしています。

 ~古事記、日本書紀の作者(編纂者ではない)たちも魏志倭人伝しか資料がなかったのです。

記紀の登場人物をスサノオ(津田の王ウツシコオ(内色許男命)=難升米、卑弥呼=天照大神、台与(豊)に当てはめる作業をしているのです。

※台与とウツシコオのコンビとは、以下です。前者が台与です。

神武天皇と八咫烏、フツヌシとタケミカズチ、神功皇后 武内宿祢、応神天皇と武内宿祢、

アメノウズメと猿田彦、ニギハヤヒ(饒速日)とナガスネヒコ(長髄彦)

聖徳太子と蘇我馬子・秦河勝、五十猛(イタケル)とスサノオ(素戔嗚)

・今までのところ矛盾なくここまて書き続けています。矛盾している箇所があれば、その矛盾点をヒントとして次の記事としています。 


<目次>




ree


 
 
 

4件のコメント

5つ星のうち0と評価されています。
まだ評価がありません

評価を追加
tootake
2時間前
5つ星のうち5と評価されています。

仏像に刻まれる女陰表現は、生殖器崇拝(生殖器信仰)の名残であり、母性や生命誕生、豊穣・子孫繁栄を象徴するものです。

女性の性器(女陰)や乳房、腹部の隆起を強調することで、「母なる女性」への敬愛と、万物を生み出す創造的な力への讃美が込められています。これにより、仏像は単なる像としてではなく、生命の源泉や大地の恵みを授ける神聖な存在として信仰されてきました。

いいね!

tootake
9時間前
5つ星のうち5と評価されています。
いいね!

tootake
12時間前
5つ星のうち5と評価されています。

壺阪寺には、もうひとつの壺坂霊験記として、親孝行の姫が大蛇とともに昇天する「さよ姫伝説」も伝承されている[6][7]。こちらは、唐津に伝わる「松浦佐用姫伝説」や説経節の『松浦長者』と同じあらすじ。松浦佐用姫 - Wikipedia

編集済み
いいね!

tootake
15時間前
5つ星のうち5と評価されています。

<これまでウツシコオ(内色許男命)スサノオ(津田の王であることが判明した人物>


第374話:牛鹿臣はウツシコオ!   第371話:彦狭島命~吉備児島

第372話:建日方別:彦狭嶋命  第369話:神武西征~健磐龍命

第365話:君が代(2):君はウツシコオ   第363話:彦はすべて、ウツシコオ

第324話:武内宿禰はウツシコオ!!  第325話:天之日矛はウツシコオ

第326話:大日彦(オホヒヒ彦)~守口  第327話:于道朱君の衝撃~新羅

第328話:沙至比跪(サチヒコ)  第329話:アメノヒボコはウツシコオ

第330話:投馬国とウツシコオ~丹波(但馬)  第331話:朱智神社~迦邇米雷王

第333話: 牛頭天王(スサノオ)はアメノヒボコ?

第380話:猿田彦は異国人     第401話:犬養氏:スサノオは天手力男神=野見宿禰

第335話: 天道根命は道祖神=ウツシコオ 第334話: 大彦は、五十猛! 

第336話:大屋彦~根の国は和歌山  第337話:阿多賀田須命~宗像氏

第338話:月読命(ツクヨミ)      第349話:天児屋命はウツシコオ!!

第357話:武甕槌神(タケミカヅチ)考    第317話:ひょっとこ:火男~天之御影命

第318話:空海のルーツは内色許男命!   第319話:和知津美命はワタツミ!!

第320話:欠史八代はヤマト=三島    第230話:三嶋溝抗命たち(複数)

第231話:神八井耳命は三毛入野    第232話:内色許男命は武埴安彦命!

第274話:八咫烏もウツシコオ   第275話:事代主もウツシコオ?

第279話:開化天皇          第280話:建角身命もウツシコオ

第263話:中臣氏~中臣烏賊津      第256話:ウガヤフキアエズのミコト

第244話:大津神社と建南方富命  第245話:豊御気主命は三毛入野!

第246話:高御産巣日神(高木神)  第247話:今迦毛大御神と天若日子

第249話:物言えぬ皇子~阿遅須枳高日子  第251話:猿田彦は塩土老翁神

第252話:迦毛大御神は崇神天皇!  第253話:キサガイヒメはウツシコオの母!

第354話:伊勢津彦はタケミナカタ =ウツシコオ 第254話:興玉命も内色許男命

第361話:宇都志国玉神と宇都志日金拆命  第394話:天御鳥命(武夷鳥命)は火の鳥

第395話:天日鷲命は、、、  第397話:獲加多支鹵大王(ワカタケル) =雄略天皇


hidemaru3375.com/post/ヒコユキからウツシコオへの過程

いいね!
bottom of page