空海(2):阿刀氏
- tootake
- 8月29日
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更新日:8月30日
第789話
空海の母方は、阿刀氏です。物部氏の一族で、本拠地を河内国渋川郡跡部(あとべ)郷(今の八尾市の一帯)としていました。
本拠地の河内国渋川郡跡部郷には阿都、大和国城下郡には阿刀の地名があります。大和川の要所に位置することから、阿刀氏は高句麗・百済系渡来人だとする説があります。大和川付替え以前の跡部は、その本流の長瀬川が流れる水陸交通の要衝でした。秦氏は、すぐれた船と航行術をもっていました。
八尾市亀井町にある跡部神社のあるの地が河内国・渋川郡・跡部郷に当たります。
跡部神社の現在の祭神は天照皇大神、阿刀連大神、八王子大神ですが、本来は物部氏の一族である阿刀氏(あと)の祖神の饒速日命を祀ったのが創始と考えられています。
阿刀氏の本拠地の跡部は阿都、阿斗、跡部とも表記され、物部守屋と蘇我連合軍との最後の戦いで多く登場する地名です。聖徳太子との戦いで物部守屋は別業があった阿都に退いたとされています。物部守屋はスサノオ(津田の王)=ウツシコオ(内色許男命)または台与です。
~第544話:物部守屋雑記 第465話:ミシャグジ様は物部守屋=ウツシコオ
秦氏の根拠地となった太秦を含む山背国葛野の地に、阿刀氏の祖神:饒速日命(にぎはやひのみこと)を祀る阿刀神社があります。平安京遷都にともない本拠地河内国渋川郡跡部郷から遷されたものです。秦氏と阿刀氏は元々は、同じ渡来系の氏族であったのだと思います。
饒速日命の降臨の際に随伴した一行(物部防衛:ふさぎのもり)の中に、船長、舵取りに、跡部・阿刀の名があり、阿刀氏が大和川の舟運を支配していたものと思われます。船長には跡部首等祖の天津羽原、梶取には阿刀造等祖の大麻良名が見えます。
阿刀氏の祖神が饒速日命(ニギハヤヒ)であることから、空海(弘法大師)の母方の家系も台与の子孫だと思われます。
先代旧事本紀では、阿刀氏は饒速日命の孫・味饒田命を祖とすると伝えています。
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<蛇足の追記>
ところで、空海の母の「阿古屋(あこや)」を「玉依(たまより)姫」と尊称します。
海の母「玉依御前(たまよりごぜん)」の名が、神話に登場する「玉依姫命(たまよりひめのみこと)」やその姉「豊玉姫命(とよたまひめのみこと)」と関係しているかどうかは、直接的な史料的証拠は乏しいものの、象徴的・文化的な連関を見出すことは可能です。
• 豊玉姫命は海神・綿津見神の娘で、山幸彦(彦火火出見命)と結ばれ、鵜草葺不合命(うがやふきあえずのみこと)を産みます。
• 出産後、海に帰る際にその子を妹の玉依姫命に託し、玉依姫命は後に甥と結婚して神武天皇を産むという複雑な母性・養育・婚姻の物語が展開されます。
• 「玉依」とは「霊(たま)が依り憑く」ことを意味し、神霊を宿す巫女的存在としての象徴性を持ちます。
海の母「玉依御前」との関係性
• 空海の母が「玉依御前」と呼ばれるのは、後世の伝承や信仰の中で付与された尊称である可能性が高く、神話的な玉依姫命との直接的な系譜関係は確認されていません。
• しかし、空海が母を深く敬い、慈尊院に弥勒菩薩とともに母を祀ったことから、母性・霊性・養育の象徴としての「玉依」の名が選ばれた可能性は十分に考えられます。
• 特に、空海が密教的世界観の中で女性の霊性や母性を神聖視したことを踏まえると、「玉依御前」という呼称には神話的玉依姫命のイメージが重ねられていると解釈することもできます。
{参考文献}
今回参考にさせていただきました『空海ノート』補記 「空海と深くかかわった渡来系氏族とその周辺」|長澤弘隆のページ -エンサイクロメディア空海-
これまでの記事はこちらです。
※このブログは、御牧国(ミマキ国)が邪馬台国であるという前提の上で書いています。
・ミマキ国は、守口、寝屋川、茨木、吹田、高槻、枚方、交野です。
※このブログでは、魏志倭人伝:古事記・日本書紀の登場人物は三人だけとしています。
~古事記、日本書紀の作者(編纂者ではない)たちも魏志倭人伝しか資料がなかったのです。
記紀の登場人物をスサノオ(津田の王)=ウツシコオ(内色許男命)=難升米、卑弥呼=天照大神、台与(豊)に当てはめる作業をしているのです。
※台与とウツシコオのコンビとは、以下です。前者が台与です。
神武天皇と八咫烏、フツヌシとタケミカズチ、神功皇后 武内宿祢、応神天皇と武内宿祢、
アメノウズメと猿田彦、ニギハヤヒ(饒速日)とナガスネヒコ(長髄彦)
聖徳太子と蘇我馬子・秦河勝、五十猛(イタケル)とスサノオ(素戔嗚)
・今までのところ矛盾なくここまて書き続けています。矛盾している箇所があれば、その矛盾点をヒントとして次の記事としています。
<目次>
空海の母の「阿古屋(あこや)」




<台与シリーズ>
hidemaru3375.com/post/天鈿売命(うずめ)は台与(豊)
https://www.hidemaru3375.com/post/かぐや姫は、台与(とよ)
https://www.hidemaru3375.com/post/磐井の乱と台与
https://www.hidemaru3375.com/post/豊受姫(豊受大神)は崇神天皇
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衣通姫(そとおりひめ)は台与(豊) 雄略天皇は台与(豊)!
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