総持寺幻想~大阪府茨木市
- tootake
- 10月2日
- 読了時間: 8分
更新日:10月3日
第823話
総持寺(そうじじ)は、大阪府茨木市総持寺にある高野山真言宗の寺院です。
山号は補陀洛山(ふだらくさん)。本尊は千手観音。西国三十三所第22番札所。開基である藤原山蔭は四条流庖丁道という新たな庖丁式(料理作法)を定めたことから料理人の信仰を集めています。
総持寺には鶴ならぬ亀の恩返し伝説があります。
総持寺(そうじじ)は平安時代の仁和2年(886年)、藤原山蔭(ふじわらのやまかげ)によって創建された高野山真言宗の寺院です。山蔭の父・藤原高房が淀川を船で下っていた際、漁師が大亀を殺そうとしている場面に遭遇します。
その日は観音菩薩の縁日(18日)であったため、観音信仰の厚い高房は亀を買い取り、川へ放して命を救いました。
翌朝、幼い山蔭が継母の策略で淀川に落ちてしまいます。
高房が観音菩薩に祈ると、前日に助けた大亀が山蔭を背に乗せて現れ、命を救ったのです。
総持寺の本尊・千手観音像は、亀の背に乗った姿で彫られており、これはこの伝説に由来します。境内にはこの亀を模した石像もあり、寺の象徴的存在となっています。
亀はウツシコオ(内色許男命)を思わせます。~第358話:鶴と亀がすーべった:籠神社
浦島太郎もウツシコオ(内色許男命)です。~第84話:うず彦(椎根津彦) ~浦島太郎
ちなみに鶴の恩返しは、大阪府交野市の伝承です。~第527話:鶴の恩返しの舞台は交野(高天原)
総持寺の山号である補陀洛山は、観音菩薩の浄土「補陀落山(Potalaka)」への憧れと往生願望に基づく、深い宗教的・象徴的信仰体系です。- サンスクリット語「Potalaka」の音写で、「観音菩薩が住む霊山」とされる理想郷のことです。 中国では浙江省の普陀山、日本では熊野や日光が補陀洛に擬されました。
日本における補陀洛の地として、熊野那智山 は補陀洛山の「東門」とされ、渡海の聖地です。そして 日光山は、二荒(ふたら)が「にこう」→「日光」)の地名変化によって補陀洛信仰の対象となっています。第424話:hidemaru3375.com/post/豊鍬入姫命-日光と男体山・女峰山では、「補陀洛山からフタラ山(二荒山)の名がついたという説が一般的ですが、男体山(なんたいさん)、女峰山(にょほうさん)に男女の二神(台与とスサノオ(津田の王)=ウツシコオ(内色許男命)が現れたのでフタアラワレの山になったという説も有ります。」とも書きました。
日本での「補陀落」の名を冠する寺院が川や水辺に近い場所にあるとされており、それには一定の根拠があります。これは単なる偶然ではなく、補陀落信仰の象徴性と地理的な立地選定が深く関係しています。
※ 補陀落信仰と水の象徴性(AIによる解説)
補陀落山(Potalaka)は『華厳経』などにおいて「南方の海上に屹立する霊山」とされ、泉・流水・池沼が豊かに湧き出る理想郷と描かれています。
このため、補陀落信仰を体現する寺院は、水のある風景=浄土の象徴として、川・池・海に近い場所が選ばれることが多いのです。
🏞 実際の寺院立地の傾向
西国三十三所の観音霊場のうち、補陀落山のイメージと合致する寺院(青岸渡寺、紀三井寺、粉河寺など)は、川や海に近接し、水景が豊かな場所に立地していることが確認されています。
奈良県の壷阪寺(南法華寺)なども、かつては湧水が豊かで「岩をたて 水をたたえて 壷阪の 庭のいさごも 浄土なるらん」と詠まれるほど、水との関係が深い寺院です。
北陸地方の古代寺院でも、河岸段丘や谷筋など水流の近くに立地する例が多く、補陀落的景観を意識した配置が見られます。
🏯 補陀落寺院の庭園構成にも水が重要
等妙寺(愛媛県)などでは、岩崖・池・観音堂がセットになった庭園構成が確認されており、補陀落山の象徴的空間として築かれたと考えられています。
石山寺(滋賀県)や那谷寺(石川県)なども、池と岩座を組み合わせた補陀落的景観を持つ代表例です。
総持寺の亀の恩返し伝説も、総持寺はかつて淀川の川辺に建っていたことによります。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
総持寺の境内には、昔の竈(かまど)遺構が出土しています。そして境内には茨木市指定有形文化財の如来荒神堂があります。
荒神は、仏法ならびに伽藍の守護神のことです。像容としての荒神は、インド由来の仏教尊像ではなく、日本仏教の信仰の中で独自に発展した尊像です。三宝荒神は日本古来の荒魂(あらみたま)に、古代インドに源泉をもつ夜叉神の形態が取り入れられ、神道、密教、山岳信仰などのさまざまな要素が混交して成立しています。
不浄や災難を除去する神とされることから、火と竈の神として信仰され、かまど神として祭られることが多く見受けられます。荒神は、大和の三輪山に祀られる神*でもあります。また、神格化された聖徳太子であるとされています。三宝荒神の、三宝は、十七条憲法の「篤く三宝を敬え。三宝とは仏法僧これなり」に基づいたものです。仏法僧の三宝を守護されている神とあります。
*かまど神とは「おくどさん」のことです。
第536話:塞ノ神と佐比の岡とおくどさんでは、次のように書いています。「岐神も道の神です。岐神(クナド、くなど、くなと -のかみ)とは、古より牛馬守護の神、豊穣の神としてはもとより、禊、魔除け、厄除け、道中安全の神として信仰されています。疫病・災害などをもたらす悪神・悪霊が聚落に入るのを防ぐとされる神です。
そして「さいの神」は、竈(かまど)の神ともされています。久那土(くなど)は近畿地方でいう「おくどさん」のことです。なぜ道の神が、竈の神になったかというと、台与(豊)が稲作=農耕の神だらかです。つまり、台与(豊)が塞ノ神(佐比の神)だからこそ、製鉄の神、道の神、竈の神となっていったのです。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<蛇足の追記>
JR総持寺の次の駅の摂津富田です。摂津頓田は、トミ(富)ナガスネヒコ=スサノオ(津田の王)=ウツシコオ(内色許男命)の拠点の一つです。~第225話:摂津富田~登美の里
昨日(2025.9.30)、西国三十三か所のバスツアーで総持寺を訪れました。
バスツアーの集合場所は梅田芸術劇場で、かつての豊郷(とよさと)です。そして、総持寺のある近くに豊川という地名があります。第759話で書いた都島区のすぐそばです。~大阪と邪馬台国:都島・うちんだい
タケミナカタ(南方刀美神)の南方、太子橋、大枝公園(大枝=太子)などもこの梅田芸術劇場(大阪市北区茶屋町)も近くにあります。
第137話:南方刀美神(タケミナカタ)~三島の溝杭3代目
第542話:大枝神社:“たいし”は太子=台与
第622話:大阪と邪馬台国:大桐(だいどう)・豊里
第623話:大阪と邪馬台国:姫島~大阪市西淀川区
私には、台与(豊)が豊郷から船で淀川をさかのぼり、総持寺に出向く様子が目に浮かびます。
このブログを書いているうちに、西国三十三番札所はと邪馬台国と重なることが分かってきました。
第一番 青岸渡寺→第543話:熊野の神々は、、、
第二番 金剛宝寺(紀三井寺) →名草(和歌山市)第590話:彦狭知(ヒコサチ)の物語2~珍彦(ウズヒコ)
第三番 粉河寺第 →第768話:長髄彦と粉河寺~那賀郡
第五番 藤井寺 → 第794話:葛井寺と王辰爾
第六番 壷阪寺 → 第796話:壺阪寺と台与
第七番 岡寺 → 第795話:岡寺と台与(豊)
第八番 長谷寺 → 第666話:元伊勢(13)~長谷寺・與喜天満宮
第九番 南円堂 → 第793話:空海(6):虚空菩薩
第十番 三室戸寺 → 第723話:三室戸寺~宇治(莵道)
第十八番 六角堂(頂法寺)→第519話:六角堂と平安京
第二十四番 中山寺→第706話:中山寺・清荒神・売布神社~宝塚市
第三十番 宝厳寺(竹生島)→第705話:竹生島神社・宝厳寺 ~琵琶湖
番外 元慶寺(山科)→第720話:毘沙門堂~京都市山科
これまでの記事はこちらです。
※このブログは、御牧国(ミマキ国)が邪馬台国であるという前提の上で書いています。
・ミマキ国は、守口、寝屋川、茨木、吹田、高槻、枚方、交野です。
※このブログでは、魏志倭人伝:古事記・日本書紀の登場人物は三人だけとしています。
~古事記、日本書紀の作者(編纂者ではない)たちも魏志倭人伝しか資料がなかったのです。
記紀の登場人物をスサノオ(津田の王)=ウツシコオ(内色許男命)=難升米、卑弥呼=天照大神、台与(豊)に当てはめる作業をしているのです。
※台与とウツシコオのコンビとは、以下です。前者が台与です。
神武天皇と八咫烏、フツヌシとタケミカズチ、神功皇后 武内宿祢、応神天皇と武内宿祢、
アメノウズメと猿田彦、ニギハヤヒ(饒速日)とナガスネヒコ(長髄彦)
聖徳太子と蘇我馬子・秦河勝、五十猛(イタケル)とスサノオ(素戔嗚)
※台与(豊)は魏志倭人伝に書かれいる13歳で邪馬台国の大王(天皇)に即位した人物のことです。
※ウツシコオは魏志倭人伝に書かれている難升米のことです。
・今までのところ矛盾なくここまて書き続けています。矛盾している箇所があれば、その矛盾点をヒントとして次の記事としています。
<目次>




石山寺 - Wikipedia
<これまでウツシコオ(内色許男命)=スサノオ(津田の王)であることが判明した人物>
第374話:牛鹿臣はウツシコオ! 第371話:彦狭島命~吉備児島
第372話:建日方別:彦狭嶋命 第369話:神武西征~健磐龍命
第365話:君が代(2):君はウツシコオ 第363話:彦はすべて、ウツシコオ
第324話:武内宿禰はウツシコオ!! 第325話:天之日矛はウツシコオ
第326話:大日彦(オホヒヒ彦)~守口 第327話:于道朱君の衝撃~新羅
第328話:沙至比跪(サチヒコ) 第329話:アメノヒボコはウツシコオ
第330話:投馬国とウツシコオ~丹波(但馬) 第331話:朱智神社~迦邇米雷王
第333話: 牛頭天王(スサノオ)はアメノヒボコ?
第380話:猿田彦は異国人 第401話:犬養氏:スサノオは天手力男神=野見宿禰
第335話: 天道根命は道祖神=ウツシコオ 第334話: 大彦は、五十猛!
第336話:大屋彦~根の国は和歌山 第337話:阿多賀田須命~宗像氏
第338話:月読命(ツクヨミ) 第349話:天児屋命はウツシコオ!!
第357話:武甕槌神(タケミカヅチ)考 第317話:ひょっとこ:火男~天之御影命
第318話:空海のルーツは内色許男命! 第319話:和知津美命はワタツミ!!
第320話:欠史八代はヤマト=三島 第230話:三嶋溝抗命たち(複数)
第231話:神八井耳命は三毛入野 第232話:内色許男命は武埴安彦命!
第274話:八咫烏もウツシコオ 第275話:事代主もウツシコオ?
第279話:開化天皇 第280話:建角身命もウツシコオ
第263話:中臣氏~中臣烏賊津 第256話:ウガヤフキアエズのミコト
第244話:大津神社と建南方富命 第245話:豊御気主命は三毛入野!
第246話:高御産巣日神(高木神) 第247話:今迦毛大御神と天若日子
第249話:物言えぬ皇子~阿遅須枳高日子 第251話:猿田彦は塩土老翁神
第252話:迦毛大御神は崇神天皇! 第253話:キサガイヒメはウツシコオの母!
第354話:伊勢津彦はタケミナカタ =ウツシコオ 第254話:興玉命も内色許男命
第361話:宇都志国玉神と宇都志日金拆命 第394話:天御鳥命(武夷鳥命)は火の鳥
第395話:天日鷲命は、、、 第397話:獲加多支鹵大王(ワカタケル) =雄略天皇
◎hidemaru3375.com/post/ヒコユキからウツシコオへの過程