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卑弥呼と銅鐸(5):荒神谷・加茂岩倉遺跡

  • tootake
  • 9月14日
  • 読了時間: 7分

第805話


出雲(荒神谷・加茂岩倉遺跡)で大量の銅剣・銅鐸が発見され、考古学者は大喜びをしました。出雲は神話でかなりの部分を占めているのに、肝心の出雲ではこれといった遺跡、遺物が発見されていなかったからです。


1996年には、加茂町(現雲南市)岩倉の丘から一か所からの出土例としては日本最多となる39口の銅鐸発見されました。銅鐸は、畿内南部の工人集団製作の横型流水文と畿内北部の工人集団製作の縦型流水文様の2系列がありますが、遺跡出土の流水文銅鐸9口は、全て横型流水文銅鐸であるので、畿内の工人集団が製作したものと考えられています。


第45話:根の国~島根、鳥取 では、次のように書きました。「銅鐸については、同形式の鋳型の分布からみて近畿産とする説が有力です。全部が畿内製造であるとはされていませんが、二号銅鐸が京都市右京区梅ヶ畑遺跡出土の四号銅鐸と同笵であることが判明しています。


考古学的な分類では「出雲式銅鐸」という型式名は存在しません。銅鐸の型式は、形態や鈕(ちゅう)の形・飾耳の有無・文様などの特徴によって、菱環鈕式・外縁付鈕式・扁平鈕式・突線鈕式といった時期的変遷の系列や、後期の近畿式三遠式といった地域型に分けられます。出雲(島根県東部)で出土する銅鐸は、この全国的な型式分類の中に位置づけられ、独立した「出雲式」という呼称は用いられていません。


出雲出土銅鐸の特徴(型式上の位置づけ)といったものはなく、多くは弥生時代後期の近畿式銅鐸に属しています(扁平鈕式・突線鈕式など)。つまり、「出雲式」という独自の型式名はなく、出雲で出土した近畿式銅鐸(やその系列の型式)というのが正確な言い方になります。


私は、加茂岩倉遺跡の銅剣・銅鐸の中には大阪府茨木市の東奈良遺跡で造られたものがかなり、入っているのではないかと思っています。加茂岩倉遺跡の銅鐸には、三遠式銅鐸は含まれていないとされています。出土した銅鐸は主に近畿式銅鐸であり、特に「扁平鈕式」や「突線鈕式」など、近畿地方を中心に展開した型式が確認されています。


東奈良遺跡の銅鐸鋳型と出雲出土銅鐸との文様照合は、製作地と埋納地の関係性を解き明かす鍵となるテーマです。以下に、現時点で判明している照合のポイントを整理してみます。


加茂岩倉遺跡では、流水文・鋸歯文を施した鋳型片が複数出土しており、特に「第2号流水文銅鐸鋳型」は、香川県我拝師山・大阪府原田神社出土銅鐸と文様・寸法が一致することが確認されています。鋳型には割付ミスによる斜線のズレや、破損痕がそのまま鋳出された痕跡があり、これらが出土銅鐸に反映されていることで製作地の特定が可能となりました

また、加茂岩倉遺跡の銅鐸群には、近畿式(突線鈕2〜4式)に属するものが含まれており、文様構成において東奈良鋳型と類似するものが複数存在します。

特に、外縁付鈕・2区流水文・鋸歯文の組み合わせは、東奈良鋳型と一致する形式であり、製作地=東奈良、埋納地=出雲という流通経路が浮かび上がります。


当時の出雲で銅剣・銅鐸が作ることができたかも疑問です。


出雲の砂鉄利用が邪馬台国の時代(3世紀頃)よりも後ではないかという疑問には、考古学・文献・技術史の複合的な検討が必要です。以下に、現時点での知見を整理してみます。


『出雲国風土記』(733年頃)には、飯石郡・仁多郡などで「鐵あり」と記されており、川から採取される砂鉄の存在と利用が確認できます。

ただし、この記述は邪馬台国の時代(3世紀)より約500年後のものであり、当時の製鉄活動を直接証明するものではありません。


出雲地方では、弥生時代の製鉄炉や鉄器製作遺構はほとんど発見されていません。

国内最古級の製鉄遺構は、吉備地方(岡山県)などで6世紀頃のものが確認されており、砂鉄を原料とする「たたら製鉄」はそれ以降に普及したと考えられています。


弥生時代の鉄器は、主に朝鮮半島からの輸入品(磁鉄鉱由来)とされ、国内製鉄は未発達で古代出雲での製鉄などありえません。砂鉄を用いた製鉄技術は、5世紀以降に国内で確立され、出雲での製鉄の最盛期を迎える江戸時代です。


荒神谷・加茂岩倉遺跡で出土した青銅器(銅剣・銅鐸など)は、鉄器普及以前の祭祀具であり、砂鉄製鉄とは直接関係しません。つまり、出雲の青銅器文化は砂鉄利用以前の段階に属すると考えられます。


✨ まとめ:出雲の砂鉄と邪馬台国時代の関係

出雲で砂鉄が本格的に利用されるようになるのは、邪馬台国の時代よりも後、おそらく5世紀以降と考えられます。したがって、弥生時代の出雲青銅器祭祀と砂鉄製鉄は時代的に接続していない可能性が高いです。


ところで荒神谷・加茂岩倉遺跡に近畿の銅剣・銅鐸を集めて捨てさせたのは、卑弥呼亡き後、邪馬台国(ヤマト)の大王に即位した台与だと思っています。


大国主命=大穴持ちという称号が、鉱山の不在にもかかわらず成立している点など、象徴的称号と実態の乖離も考察の余地があります。第799話:大国主と出雲の嘘で書いたように、藤原不比等は、この大国主=オオナムチ=大穴持ちをヒントにして大国主なる神を創作し、そのことを本当のように思わせるために、わざわざ島根県に杵築大社(出雲大社)を創建したというのが私の持論です。~第787話:中臣鎌足は、


銅剣・銅鐸を各地から集めて島根県の出雲に埋めさせたのが、藤原不比等だというのも(物理的に)あり得ない話でないのです。


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<蛇足の追記>

私がいつも参考にさせていただいている考古学者の森浩一先生や出雲の大家である門脇禎二氏などの一流の学者先生たちの著書を読むと、荒神谷・加茂岩倉遺跡から出土した銅剣、銅鐸は出雲で造られたものであると思いたいと書いておられます。思われるのは個人の自由ですが、その思いがが歴史を歪めることにならないかと心配です。


関連項目:第270話:銅鐸・銅剣は廃棄物


<銅鐸シリーズ>


これまでの記事はこちらです。


※このブログは、御牧国(ミマキ国)が邪馬台国であるという前提の上で書いています。

・ミマキ国は、守口、寝屋川、茨木、吹田、高槻、枚方、交野です。

※このブログでは、魏志倭人伝:古事記・日本書紀の登場人物は三人だけとしています。

 ~古事記、日本書紀の作者(編纂者ではない)たちも魏志倭人伝しか資料がなかったのです。

記紀の登場人物をスサノオ(津田の王ウツシコオ(内色許男命)=難升米、卑弥呼=天照大神、台与(豊)に当てはめる作業をしているのです。

※台与とウツシコオのコンビとは、以下です。前者が台与です。

神武天皇と八咫烏、フツヌシとタケミカズチ、神功皇后 武内宿祢、応神天皇と武内宿祢、

アメノウズメと猿田彦、ニギハヤヒ(饒速日)とナガスネヒコ(長髄彦)

聖徳太子と蘇我馬子・秦河勝、五十猛(イタケル)とスサノオ(素戔嗚)

※台与(豊)は魏志倭人伝に書かれいる13歳で邪馬台国の大王(天皇)に即位した人物のことです。

※ウツシコオは魏志倭人伝に書かれている難升米のことです。

・今までのところ矛盾なくここまて書き続けています。矛盾している箇所があれば、その矛盾点をヒントとして次の記事としています。 


<目次>




ree

 
 
 

2件のコメント

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tootake
9月13日
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tootake
9月13日
5つ星のうち5と評価されています。

<これまでウツシコオ(内色許男命)スサノオ(津田の王であることが判明した人物>


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