邪馬台国の水軍(2):津守氏
- tootake
- 8月15日
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更新日:8月15日
大阪府大阪市西成区に津守(〒557-0062)という地名があります。津守氏は、摂津国住吉郡(大阪市住吉区)を本拠とし、住吉大社の神職を世襲した社家です。
津守氏の祖は、田裳見宿禰(たもみのすくね)とされ、神功皇后の新羅征伐に際して住吉三神の加護を得た功績から、住吉大神の祭祀を命じられたと伝えられます。田裳見宿禰は宿禰であることから、ウツシコオ(内色許男命)=スサノオ(津田の王)でしょう。
住吉三神(底筒男命・中筒男命・表筒男命)、神功皇后を祀る「住吉四社大明神」は、禊祓・航海安全・歌道・武神・産業神として広範な神徳を持ちます。住吉三神はウツシコオ(内色許男命)=スサノオ(津田の王)です。神功皇后は台与です。~第602話:宗像三女神と三筒男は
住吉津(すみのえのつ)は細江川(細井川)河口付近にあった古代の港で、遣唐使や遣隋使といった外交使節の発着港として重要な位置を占めていました。
津守氏は「津(港)を守る」役割を朝廷から与えられたとされ、海部を率いて航海術を掌握していたと伝えられます。 つまり津守氏は、海人族(水軍)です。
津守氏は、遣唐使の航海安全祈願、住吉祭(おはらいまつり)、御船神事など、海人系祭祀の中枢を担う氏族でした。
津守国基(11世紀)は和歌・箏・舞・競馬などに秀で、白河天皇の勅願で浄土寺を再興するなど、神職と文化人の両面で活躍しました。これは多氏の家風と一致します。多氏は「神楽歌」と「舞楽」を父子相伝し日本の文化を築きました。多氏の祖は神八井耳命で神八耳命は台与(豊)です。
津守氏と尾張氏はともに天香語山命(天香山命)を祖とする神別氏族です。以下に、住吉祭祀を中心とした津守氏の特徴と、尾張氏との比較を整理してみましょう。
津守氏の住吉祭祀:海人系神職の中枢: 氏族の由緒と祭祀の起源
| 項目 | 津守氏 | 尾張氏
| 拠点 | 摂津国住吉郡(大阪) | 尾張国(愛知)
| 祖神 | 天香語山命(天火明命系) | 同上
| 祭祀対象 |住吉三神+神功皇后(海神・禊祓) | 熱田大神(草薙剣)・尾張戸神(祖神)
| 氏族性格 | 海人系・神職・社家 | 地祇系・武神・開拓神・王権補佐
| 文化的役割| 歌人・楽人・神職 | 熱田神宮の祭祀・王権との接続
| 系譜的関係| 天香語山命 → 津守氏 |天香語山命 → 天村雲命 → 尾張氏
両氏族は、天香語山命を祖とする神別氏族で、津守氏は海人系の祭祀と神職の継承に特化し、尾張氏は、王権との接続と武神祭祀(草薙剣)に軸足を置いています。
津守氏が住吉三神を祀ることで海神信仰の中枢を担い、尾張氏が熱田神宮で草薙剣を祀ることで王権の象徴を守護するという、機能分化した神祇ネットワークが見えてきます。
第770話:斬蛇の剣と草薙剣~備前の尾張では、草薙剣は、寝屋川市讃良郡条里遺跡で作られたとしています。
さらに掘り下げるなら、津守氏と安曇氏・海部氏との関係や、尾張氏と物部氏・天火明命系譜との接続など、神祇祭祀と氏族政治の交差点が見えてきそうです。
第314話:海人族~ワタツミでは、阿曇連は、古事記では「阿曇連はその綿津見神の子、宇都志日金柝命(うつしひかなさくのみこと)の子孫なり」と記され、新撰姓氏録では「安曇連は綿津豊玉彦の子、穂高見命の後なり」と記されています。
この宇都志日金柝命(穂高見命)の宇都志(ウツシ)はウツシコオ(内色許男命)を思わせます。と書いています。
第364話:君が代(1)~志賀海神社では、「安曇の君はウツシコオ(内色許男命)=スサノオ(津田の王)であることは明らかです。磯良(いそら)は阿曇磯良も天児屋根つまりウツシコオ(内色許男命)=スサノオ(津田の王)です。」と書きました。
天香語山命(アマノカゴヤマ)は台与です。海部氏系図に「天五十楯天香語山命」とあり、天香語山命は五十猛命と同一視されています。~第736話:イタケルは台与(1)
関連項目:第392話:村上水軍と越智氏
:第774話:邪馬台国の水軍(1):阿万氏
:第773話:阿万(あま)氏と西都原伊古墳群
:第772話:安満遺跡は高天原?
※これまでの記事はこちらです。
※このブログは、御牧国(ミマキ国)が邪馬台国であるという前提の上で書いています。
・ミマキ国は、守口、寝屋川、茨木、吹田、高槻、枚方、交野です。
※このブログでは、魏志倭人伝:古事記・日本書紀の登場人物は三人だけとしています。
~古事記、日本書紀の作者(編纂者ではない)たちも魏志倭人伝しか資料がなかったのです。
記紀の登場人物をスサノオ(津田の王)=ウツシコオ(内色許男命)=難升米、卑弥呼=天照大神、台与(豊)に当てはめる作業をしているのです。
※台与とウツシコオのコンビとは、以下です。前者が台与です。
神武天皇と八咫烏、フツヌシとタケミカズチ、神功皇后 武内宿祢、応神天皇と武内宿祢、
アメノウズメと猿田彦、ニギハヤヒ(饒速日)とナガスネヒコ(長髄彦)
聖徳太子と蘇我馬子・秦河勝、五十猛(イタケル)とスサノオ(素戔嗚)
・今までのところ矛盾なくここまて書き続けています。矛盾している箇所があれば、その矛盾点をヒントとして次の記事としています。
<目次>




藤原不比等は何をした人?何がすごい?簡単に分かりやすく解説 | 日本史のススメ
<これまでウツシコオ(内色許男命)=スサノオ(津田の王)であることが判明した人物>
第374話:牛鹿臣はウツシコオ! 第371話:彦狭島命~吉備児島
第372話:建日方別:彦狭嶋命 第369話:神武西征~健磐龍命
第365話:君が代(2):君はウツシコオ 第363話:彦はすべて、ウツシコオ
第324話:武内宿禰はウツシコオ!! 第325話:天之日矛はウツシコオ
第326話:大日彦(オホヒヒ彦)~守口 第327話:于道朱君の衝撃~新羅
第328話:沙至比跪(サチヒコ) 第329話:アメノヒボコはウツシコオ
第330話:投馬国とウツシコオ~丹波(但馬) 第331話:朱智神社~迦邇米雷王
第333話: 牛頭天王(スサノオ)はアメノヒボコ?
第380話:猿田彦は異国人 第401話:犬養氏:スサノオは天手力男神=野見宿禰
第335話: 天道根命は道祖神=ウツシコオ 第334話: 大彦は、五十猛!
第336話:大屋彦~根の国は和歌山 第337話:阿多賀田須命~宗像氏
第338話:月読命(ツクヨミ) 第349話:天児屋命はウツシコオ!!
第357話:武甕槌神(タケミカヅチ)考 第317話:ひょっとこ:火男~天之御影命
第318話:空海のルーツは内色許男命! 第319話:和知津美命はワタツミ!!
第320話:欠史八代はヤマト=三島 第230話:三嶋溝抗命たち(複数)
第231話:神八井耳命は三毛入野 第232話:内色許男命は武埴安彦命!
第274話:八咫烏もウツシコオ 第275話:事代主もウツシコオ?
第279話:開化天皇 第280話:建角身命もウツシコオ
第263話:中臣氏~中臣烏賊津 第256話:ウガヤフキアエズのミコト
第244話:大津神社と建南方富命 第245話:豊御気主命は三毛入野!
第246話:高御産巣日神(高木神) 第247話:今迦毛大御神と天若日子
第249話:物言えぬ皇子~阿遅須枳高日子 第251話:猿田彦は塩土老翁神
第252話:迦毛大御神は崇神天皇! 第253話:キサガイヒメはウツシコオの母!
第354話:伊勢津彦はタケミナカタ =ウツシコオ 第254話:興玉命も内色許男命
第361話:宇都志国玉神と宇都志日金拆命 第394話:天御鳥命(武夷鳥命)は火の鳥
第395話:天日鷲命は、、、 第397話:獲加多支鹵大王(ワカタケル) =雄略天皇
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