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出羽三山(2)~月山・月(調)と兎

  • tootake
  • 7月20日
  • 読了時間: 7分

第749話 #調神社 #月読命 #邪馬台国


月山は、山形県にある霊峰で、出羽三山(羽黒山・湯殿山・月山)のひとつです。

古来より死と再生の象徴とされ、修験道の聖地でもあります。山頂には月山神社本宮があり、参拝可能なのは夏季のみです。


月山神社本宮では、月読命(ツクヨミ)が主祭神として祀られています。

月山の名そのものが「月の神=ツクヨミ」に由来するとされ、山そのものが神格化された月の象徴です。


月読命(ツクヨミ)は、記紀では月の神とされ、天照大神(太陽)・スサノオ(海)とともに、イザナギの禊から生まれた三貴神の一柱です。夜の世界の統治者とされ、月の満ち欠けを通じて暦・農耕・潮の動きなどに関与する神です。神話では保食神を斬ったことで、天照大神と不仲になり「昼と夜が分かれた」とされます。


月山は「死後の世界」や「魂の再生」を象徴する山であり、ツクヨミの夜・静寂・再生の神性と深く共鳴します。兎や水など、月に関連する象徴も月山信仰に登場し、ツクヨミの神格と重なります。


前回:出羽三山(1)羽黒山そして女神山で書いた女神山(めがみやま)のある福島県伊達町に月宮神社があります。月宮神社も養蚕と関係の深い神社です。

月宮神社の「招きウサギ」信仰と養蚕文化の交差点福島県伊達市月舘町に鎮座する月宮神社(つきみやじんじゃ)は、養蚕信仰の聖地として知られ、境内には無数のウサギの土人形が奉納されています。この「招きウサギ」信仰は、地域の養蚕農家の祈りと感謝が形になったものです。ウサギ=子孫繁栄・多産の象徴として、蚕がよく育つよう願う養蚕農家に信仰されています。春の養蚕期(5月)になると、農家は神社からウサギの人形を一体持ち帰り、養蚕が成功すれば翌年に二体奉納する「倍返し」の風習がありました。


月宮神社の祭神は月讀命(ツクヨミノミコト)で、月とウサギの関係性が信仰の核にあります。ウサギは月の使いとされ、月待信仰や二十三夜塔などとも結びついています。

拝殿には「蚕大当たり」と題された養蚕讃歌の絵馬も奉納され、蚕とウサギの象徴的連関が強調されています。


この信仰は、単なる民間伝承ではなく、月・繁栄・養蚕・女性神という複数の象徴が交差しています。月山神社は、天照大神の弟神とされる月読命(つきよみのみこと)を、出羽神社は出羽国の国魂である伊氏波神(いではのかみ)と稲倉魂命(うかのみたのみこと)の二神を祀っています。


埼玉県さいたま市浦和区岸町に調神社があります。創建は第10代崇神天皇の勅命によると伝えられています。「調(つき)」とは、古代の税制「租庸調」の「調」に由来し、伊勢神宮に納める貢物(調物)を集積する倉庫があった場所とされます。「調」は律令制下で地方から中央に納められる物品の一種で、絹、麻、布などの織物が中心でした。

特に絹は高級品であり、天皇や貴族への献上品として重要視されました。

そのため、絹の産地や織物技術を持つ氏族が「調」の名を冠することは、職能と貢献を示す象徴的な命名と考えられます。


鳥居がないのは、貢物の搬出入の妨げになるためと伝承されています。

平安時代の『延喜式神名帳』にも記載される由緒ある古社です。

埼玉県の調神社(つきじんじゃ)では、兎が神の使いとして崇敬されており、境内の手水舎も兎の形をしています。


「調」は「つき」と読み、「調宮(つきのみや)」とも呼ばれています。福島県伊達町の月宮神社と同じです。やはり、調神社の社名の「ツキ」により月待信仰が古くからあり、調神社は狛犬ではなく狛ウサギがある神社として知られています。祭神は、天照大御神、豊宇気姫命、素戔嗚尊です。瓢箪供物運搬神門伝承などがつたわっています。


絹織物→税金として国に治める(調)→調(つき)→月という連想です。

そして月といえば兎、ツキヨミという連想がさらに続くのです。それが

月の神=月読命は、夜・静寂・再生・暦などを司る神格となったということなのです。


  • 八頭町(鳥取県)の伝承では、白兎は月読命の化身とされ、天照大神が霊石山に仮宮を営む際、白兎がその裾をくわえて道案内をしたと語られています。

  • この白兎は後に「道祖白兎大明神」として祀られ、月読命の神体とされるようになりました。

  • つまり、白兎=月読命という神格の重なりが、八頭町の信仰の中で明確に示されているのです。

  • 古事記の「因幡の白兎」は、大国主命に助けられ、八上姫との縁を予言する神話です

  • 山形県鶴岡市由良にある八乙女浦には、蜂子皇子が丹後由良から海路北上した際、八人の乙女が笛を吹き舞を舞って皇子を迎えたという伝承があります。

  • 月読命は、万葉集などで「変若水(おちみず)」=若返りの水を持つ神とされ、不老不死の象徴でもあります。~第744話:お水送り(3):変若水(おちみず)

  • 白兎神話も「傷からの回復」がテーマであり、大国主命が医薬神として登場する点と重なります。


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<蛇足の追記>

・調神社の前に大瓢箪出没伝承を示す注連縄柱(しめばしら)が立ち、まつりには瓢箪を用います。~豊受大神を祭る神器の一つは瓢箪だそうです。丹後国与謝郡の与謝(よそ)の地名起源は瓢箪(ひょうたん)であると海部氏勘注系図の割注に書かれています。

このときヤマトトモモソ姫は、うつぼ船に乗ってきたとされています。

うつぼ(植物)と瓢箪(ひょうたん)は、実は同じ植物の異なる品種

・伊氏波神(いではのかみ)は、出羽国(現在の山形県周辺)における国魂神として古代から信仰されてきた神で、羽黒山頂に鎮座する出羽神社の主祭神の一柱です。稲倉魂命(うかのみたまのみこと)とともに出羽神社に合祀されていることから、伊氏波神も台与です。

出羽国(では)の地目の由来は、伊氏波神(いではのかみ)の「では=でわ=出羽」です。

・新撰姓氏録には「調連(つきのむらじ)」という氏族が記載されており、河内国や大和国に分布していたとされます。この氏族は、絹織物の生産・献上に関わっていたとされ、「調」の名はその職能に由来していす。「調子(つきし)」や「調布(ちょうふ)」といった地名、例えば東京都調布市の地名は、古代にこの地で絹布(調布)を朝廷に献上していたことに由来すると言われています。


関連項目:第378話:猿丸幻想(3)~宇都宮は兎の都



※これまでの記事はこちらです。


※このブログは、御牧国(ミマキ国)が邪馬台国であるという前提の上で書いています。

・ミマキ国は、守口、寝屋川、茨木、吹田、高槻、枚方、交野です。

※このブログでは、魏志倭人伝:古事記・日本書紀の登場人物は三人だけとしています。

 ~古事記、日本書紀の作者(編纂者ではない)たちも魏志倭人伝しか資料がなかったのです。

記紀の登場人物をスサノオ(津田の王ウツシコオ(内色許男命)=難升米、卑弥呼=天照大神、台与(豊)に当てはめる作業をしているのです。

※台与とウツシコオのコンビとは、以下です。前者が台与です。

神武天皇と八咫烏、フツヌシとタケミカズチ、神功皇后 武内宿祢、応神天皇と武内宿祢、

アメノウズメと猿田彦、ニギハヤヒ(饒速日)とナガスネヒコ(長髄彦)

聖徳太子と蘇我馬子・秦河勝、五十猛(イタケル)とスサノオ(素戔嗚)

・今までのところ矛盾なくここまて書き続けています。矛盾している箇所があれば、その矛盾点をヒントとして次の記事としています。 


<目次>




 狛ウサギ 調神社    調神社と兎:https://seikatunohint.com/4459.html

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